インド・アーユルヴェーダ紀行


9月30日、夜11時過ぎシンガポールからの乗り継ぎでトリヴァンドラムに入った。
以前北インドに行ったときは、50度近い猛暑の中だったので、ちょっとドキドキだったけど、
今回は南インドのリゾート地で、ビーチ沿いの街、コバーラムは
とても安全で、美しい海が広がり、本当にインド?っていうくらいのんびりした所だった。


アーユルヴェーダのメッカということで、街中いたるところに、シロダーラの看板がかかり、
アーユルヴェーデイックセンターがわんさか軒を並べる。



掘っ立て小屋のようなところや、サロンっぽいところ、滞在型の高級リゾート施設、
いろんなアーユルヴェーダがあふれている。

それぞれにドクターがいて、診察し、トリートメントやパンチャカルマを受ける。



パンチャ・カルマは、五つの浄化法という意味で

1.経鼻法(ナスヤ)

鼻に薬用オイルを点鼻して、過剰になったドーシャやアーマをくしゃみによって排泄させる。
花粉症の予防や症状の改善、鼻炎や蓄膿、頭痛、喘息、扁桃腺や咽喉に関わる病気、
白内障などの眼病、皮膚病や脳に関わる病気などにも。

2.催吐法(バマナ)
薬草の煎液を飲み、胃から上、胸、肝臓の過剰なドーシャやアーマを、催吐により排泄させる。
気管支炎、喘息、吐き気、咽の筋肉の痙攣、皮膚病、急性発熱、象皮病、消化不良、胃腸炎、中毒、貧血症、てんかん、質の悪い母乳、結核、呼吸困難、慢性リンパ節炎、拒食症、浮腫、糖尿病など

3.下剤法(ヴィレーチャナ)
胃から下の消化器系を下剤(ハーブ)を飲んで、
増悪したドーシャやアーマを下痢によって排泄させる。

痔、痛風、黄疸、喘息、せき、便秘、皮膚病、慢性的な発熱性疾患、吐き気、中毒症、胃炎等消化器系疾患、脾臓疾患、甲状腺の疾患、貧血、頭痛、心臓疾患、呼吸困難、てんかん、精神障害、婦人病、精液の病気、失神、腹部の疾患、大腸疾患、便秘、膿瘍、浮腫、目の炎症、疾患など


4.浣腸(バスティ)
薬用オイルを直腸に注入し、大腸の過剰なドーシャやアーマを排泄させる。

下腹部の疾患、痔等肛門の疾患、泌尿器系疾患、便秘、体力の低下、筋肉の衰え、精液減少、感覚器官の低下、下痢、関節痛、膵臓疾患、腹部腫瘍、精神障害、発熱、頭痛、耳痛、臀部、膝、足首等の痛み、胸の痛み、腸内の音、尿管結石、ヴァータ系疾患、失神、顔の半身麻痺、けいれん、無月、経痛風、肩こりなど


5.採血法(ラクタモークシャー)

ヒル等に血液を吸わせて、過剰になったアーマやドーシャを取り除く。

月経過多、眼の疾患、過剰睡眠、リウマチ、腫瘍、痔、拒食症、消化不良、胃炎、直腸・肛門の炎症、脱毛症、震顫、 黄疸、極度の疲労、発疹等皮膚疾患、男性性器の炎症、中毒、脾臓肥大、泌尿器系疾患、頭痛、痛風、膿瘍、丹毒、歯槽膿漏、めまいなど

の5種類の方法がある。浄化を受けて、そしてトリートメントやラサーヤナ(お薬)や食事法で
身体をさらに整え、治していく。パンチャ・カルマは体力と精神力があって、症状のある場合行われる。
本当によいドクターは健康な人は簡単にパンチャカルマを受けさせてくれないとも聞くのだけれど。
観光、というか、リゾート施設なんかで受けるものと、本当の熟練した名医とは違うのかもしれない。
本当にすばらしいアーユルヴェーダのドクターは、脈診だけで、生まれ持った体質や小さな時からの
病気や怪我、精神的なトラウマなんかも、わかるという。まるでリーディング。
残念ながら今回はそういう体験は出来なかった。
でも、特に自覚症状もないし、そう問題もなく、健康体だからだろう。


ドクターのよる脈診の後、トリートメントのメニューが決まり、ラサーヤナ(お薬)を処方される。
私は風邪気味で少し熱っぽかったが、特に悪いところもないので、年齢によるホルモンバランスの
崩れとアンチエイジング(ま、いつまでも若くキレイでいたいものね)をお願いする。
私はどんな浄化法かしら、とドキドキだったのだが、かかったドクターがナスヤがお得意のようで
3日間ナスヤを受ける。そのとき一緒に受けた人も皆ナスヤを受ける。
その人の状態によって出る症状もさまざまで、面白い。


私が受けたナスヤは、古典的なやり方だそうで、午前中のお天気のよい日に行う。
鼻を中心に顔、首、肩を入念にマッサージし、蒸しタオルでさらに顔や肩を温め、
血行をよくし、鼻のとおりをよくする。そしてベッドに横になり、薬用オイルを点鼻し、
横になったままドクターやセラピストが顔と足をこすり、自分でも、手をこすり合わせる。


(なんか、とっても変な格好だ。)

そして庭に出てくしゃみを誘発するハーブのパウダーを吸い込み、太陽を見つめて、くしゃみを
するという、ものだった。
薬用オイルが鼻から目や耳のおく、咽の奥や額なんかに流れ込んでいくのがわかる。
オイルがギー(バターから作った油)ベースのまったりしたものだったせいか、ものすごい痛みがこめかみ
や目の奥、肩に広がる。旅行前から少し風邪気味だったからか・・・?
もっとさらっとした薬用オイルでやったときは、とってもシャープで頭も痛くなくって後がスッキリした。
こちらはとってもお勧めだ。いずれ花粉症の人にはナスヤ教室をやりたいものだ。
だが、蓄膿などで膿が溜まっている人はとてもヒドイ痛みがあるそうだ。
日本に戻って、急に寒くて風邪をひいたのだが、粘膜が強くなっているのか、
咽が痛くて痰はぽんぽん最初から出るのだが、鼻水が出ない。う〜〜ん、ナスヤ恐るべし。
昨年からお勧めの生姜湯を毎日飲んで、軽減した花粉症が、来年はどうなるか、楽しみ。



そして、私のメニューとして
アビヤンガ
(全身の薬用オイルによるマッサージ。筋肉の緊張、ストレス等を緩和。皮膚内の血液循環を良くする。リラクゼーション効果がある。

を受け、その後3日間はアビヤンガと
エラキリ
(薬草や牛乳、さまざまなものを炒ったりして作ったボールを温めた薬用オイルにつけて、身体中をこする。熱くってものすごい気持ヨイ。皮膚を強壮にして若返り、筋肉増強に効果あり。
症状としては腫れを伴う関節炎、骨関節炎、筋肉痛,
リウマチ、スポーツ障害、半身不随、、肩こり、五十肩,坐骨神経痛などによいそうです。




ナバラキリ
(専用のお米を薬草の煎じ液と牛乳で炊いたものを包んだボールを温めた牛乳につけて、身体中をこする。おかゆのように炊いたお米がにゅるにゅるとして、全身パックのようだ。これも又気持よいが、牛乳がすぐ冷えて寒い。この温かさと寒さの温寒の刺激がよいのだそう。
循環をよくして血行を促進し、消化をよくして、お肌にもとてもよいそう。
適応症状としては、神経系の疾病や慢性のリウマチ,骨関節炎、通風、筋肉の衰弱、
皮膚疾患や老化、によいそうです。


そしていよいよ王様のトリートメントと噂の
ピッツィチリ(温かいの薬用オイルを全身に絞りかけるトリートメントで、身体のシロダーラ、って感じ。約2リットルのハーブオイルを使用するので‘王様のトリートメント’と呼ばれているそう。これはなんとも言えずむちゃくちゃ気持ちよい。オイルを身体に垂らされる瞬間がゾゾゾ〜〜っとえもいわれぬ気持ちよさ。
筋肉の痛みや緊張を取り除き、身体を若返らせる。
そして健康を保ち促進させ、免疫力の向上や骨の強化、
勢力や消化力も増進する。そして、ダイエットにも効くという万能選手。
やはりリューマチや麻痺、神経系の疾患、骨折によいらしい。





そしてご存知シロダーラ(人肌のハーブオイルを絶え間なく額に垂らし続けるトリートメント。
瞑想状態になり、脳から脊髄の中枢神経を刺激し、優れたリラクゼーション効果がある。
主に不眠症、精神疾患、顔面神経痛や、麻痺などの神経障害、皮膚疾患、脳卒中の後遺症、過度の精神疲労(ストレス)などによいとされる。



そして
シーロバスティ
(これは帽子のようなものをかぶってどんどん薬用オイルを注いでいく方法。やはり、シーロダーラと同じような効果があるらしい。しかしこれは身体もオイルまみれになり、目にもしみて、
あまり快適とはいえなかった。だって、治療なんだから、気持よいだけではだめなのね。)
熟練のドクターにお願いして経験させてもらう。

 


こういったメニューを実際毎日受けながら、そのさまざまなトリートメントのやり方を実習して学んだり
キリに使うハーブのボールの作り方や薬を作る現場などを見学したりする。毎日、オイルトリートメントをうけ、
実習でも相モデルでオイルマッサージを受け、毎日オイルまみれ。
そして遠慮なく降り注ぐ太陽の日差しが厳しい。
(あまりトリートメント中に日に当たることはよくないので)
それでも、元気なのは、毎日のTVも何もなくて静かな、
早く寝て朝日が昇る前に起きる健康的な生活と
ヘルシーは食事、そしていただいたお薬、
何より毎日たっぷり使う薬草オイルの効能だろう。




でもでも、アーユルヴェーダのお薬やトリートメントに使われるハーブは
数種類から十数種類の薬草・ミネラルの混合調剤、そしてオイルはさらに
煮たり煎じたり何工程もかけて作られる。
経典には500〜700種類のハーブが記載されているそうだ

ここケララにはたくさんのアーユルヴェーダの製薬会社がある。

けれども優れたお薬を作るドクターは、今もその家に伝わる伝統的な手法とレシピで
作っているのだ。


     
実習、見学風景                                       

 
薬草屋さん
  
                 
 
街のレストランでクッキングスクールも 

  


  








そして最後の5日間はNHKや雑誌の取材もしょっちゅうだという、滞在型高級リゾート施設
     
に宿泊する。高級ホテルでも1500円くらいなのに、ここは一泊1万円以上。


ビーチで50円くらいだったミールス(お昼の定食みたいなもので、ご飯と数種類のカレー、魚フライ
おかずなんかがついていておかわりし放題だ。すごーくウマイ。)
(これは街の安くてうまいミールス)


も、10倍くらいする。
たくさんの欧米人が静かに治療を受けている。
すごくお金持ちなんだと思われる、年配の人が多い。  
ケララ式のコテージで、目の前のプライベートビーチを朝日を眺めながら散歩し、
ヨガと瞑想のレクチャーを受け、ハンモックで読書をし、
塩分超控え目の体質別のお食事を取り、トリートメントを受ける
心も身体も魂も癒される、そんな施設である。
アーユルヴェーダを受けるというのは、日本で言う湯治のような感じで、
ドクターの管理の下、一度浄化した身体にお薬や薬用オイルを使った
トリートメントで、食事法なども、取り入れて、病気や症状を
ひと月とか、二月とか長期間かけてゆっくり治していくのだ。
日本でも、なかなか治らない、糖尿やアトピー、リューマチなんかが
アーユルヴェーダでなおる、といわれるのは、
浄化して身体と心に溜まった毒素を出し、
生活から見直して治す、身体と思う。


旅と人に疲れ、波立った私の心も、
静かに、穏やかになっていく。
 

スタッフも、慇懃なほど柔らかで丁寧な応対で、笑顔が異常に美しい。
  
ドクターたち     と   セラピスト

やはり、ドクターの診断の後、私は短期滞在なので、希望のメニューをお願いする。
ここの自慢はケララ式の天井からぶら下がった紐を手で持ってバランスをとり、
足で踏んでやるオイルマッサージだ。とっても絶妙の圧で、とても気持ちよい。
そしてシロダーラが最高。45分間静かに、そしてゆっくりと薬用オイルが額を流れていく。
他には受けたことがなかったスパイスパウダーの乾式マッサージや、フェイシャルパックも経験する。
ヨガと瞑想のレクチャーも、適度に身体を動かし静と動の動きや緊張、汗が気持ちよい。
ここで、ひと月すごしたら、仏様のような心持になること、間違いない。


美しい海と夕日、そして教会が・・・


という、勉強とトリートメント三昧の数週間。こんなに毎日マッサージを受けることも、
ないだろう。インドで約3キロ落ちてスリムに、そして
さらに?ピカピカのお肌になって心も身体も魂も浄化されて帰ってきたのであった。



自分の身体で、心で、五感で感じたものは、とても大きい私の宝物になった。
学び、そして実際に自分で体感したさまざまなトリートメントを、是非サロンでいかしたいと思う。

知らなかったたくさんの「本当」を見て、知って、アーユルヴェーダのサロンを営む、ということに、
そして人を癒し、元気にするこの仕事を更に深く感じる。
まだまだ、アーユルヴェーダのスタート地点に立ったばかり。これからも、学び続けたいと思う。



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